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フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか

 

 

 

「サンタクロースの国」としては知っていたフィンランド。世界幸福度ランキング3年連続1位の国と聞いてもなかなかイメージが湧かなかったのだが、この本の著者が登壇する某セミナーでフィンランド流のゆとりある社会、生き方を知り、読んでみたくなった一冊。

 

「次の世代のためにもっと暮らしやすく、夢の持てる社会になってほしいと強く思うし、それを私たちが作っていく必要があるのではないだろうか。」

 

著者のあとがきの言葉がCROSSINGBORDERSの想いと重なり嬉しかった。

フィンランドでは、午後4時を過ぎると子育て中のパパもママも、そうでない人もみんな帰っていき、夏休みは4週間しっかり取る。父親の8割が育児休暇を取得し、休暇中は完全に仕事から離れることが許される。メール返信に煩わされることもなく、サウナ・キノコ狩り・ベリー摘みを楽しむ。自然の中でデジタルデトックスをしてすっかりリフレッシュしたらまたバリバリと働くフィンランドの人たち。育休やコーヒー休憩等の表面的な制度ではなく、自然との豊かな関わりの中でシンプルに生きる生活哲学と信頼をベースにしたぬくもりある人間関係があってこその「ゆとりある幸せ」が軽やかに描かれている。

 

印象的なのは、フィンランドの仕事文化では肩書は関係なく、組織はオープンでフラット、性別も年齢も関係なく、働く人ひとり一人の意思を大切にし、相手を信頼して仕事を任せることがごく当然であるということ。同期で入社した誰々はもう役職についているのに自分はまだだからといって落ち込んだりする必要はない。逆に、例えば現場エンジニアとして第一線で働き続けたい人は40代、50代になっても書類を作ったり会議に出たり、部下の管理といった「管理職業務」に関わることなくエンジニアとして新しい仕事にチャレンジし続けることができ、それが正当な評価につながっていくということだ。

 

どのような制度にもメリットとデメリットがあり、実際に経験してみなければわからない部分はあるものの、本人の意思で次の異動や転勤の希望を出せる「職種別採用」や「社内公募制」は各自のキャリア&ライフプランニングがしやすく、安心して自分らしく生きられる基盤となっていることがわかる。日本とフィンランドは歴史も人口規模も法律も制度も違うからフィンランドの制度をそのまま採り入れれば良いという訳ではないが、フィンランドの根底に流れる「人生哲学」ともいえる日々の生活や考え方から学べることは多いと思う。「当たり前」を「当たり前だから」と思って諦めてしまう前に是非読んでみていただきたいなと思う一冊である。