コロナ水際対策の変遷

 

2022年10月、新型コロナウィルスへの感染が疑われる症状がある帰国者・入国者を除き、全ての帰国者・入国者について原則として入国時検査を実施せず、入国後の自宅又は宿泊施設での待機、待機期間中のフォローアップ、公共交通機関不使用等を求めないこととなりました。これに伴い、入管のコロナ特例措置が次々と終了となり、コロナ禍をともに過ごした膨大な資料を少しずつ整理していた矢先、中国からの入国者・帰国者に対する新たな水際対策措置が発表されました。

 

 

2019年末に武漢から来たという方から「中国に帰ることはできるだろうか」との相談を受けた時、コロナウィルス感染症の歴史が始まったと感じています。その日以来、日に日に増えていく新規感染者数を追いかけながら、新規の出入国の可否、帰国できない方からの相談等に対応するため、水際対策、入管特別措置のフォローと整理を日々行ってきました。一部上書きをしてしまったり、削除してしまったものもありますし、リンク先のページがすでに削除されているものもありますが、こうして振り返ると、ある時は一人で頭を抱え、ある時は相談員仲間と「これはどういうこと?」「こういう人だとこれは可能?不可能?」等などと情報を共有しつつ、一日に100件近い相談に対応した怒涛の日々が懐かしく思い出されます。

 

画像は、コロナ特例や水際対策が更新される度に増えていった資料の束です。国際的な人の移動が制限されたコロナ禍、出入国とそれに伴う水際対策が外務省と法務省・出入国在留管理庁、厚生労働省にまたがり、また問い合わせは国内、国外を問わず、また日本の方、外国の方を問わず、さらに日本語、英語に留まらず、そのような中でいかに素早く、相談者様が必要とする情報にアクセスするかが課題であり、その中で試行錯誤を繰り返しながら各省庁横断的に分類したものです。コロナ禍の相談対応の歴史は、組織の壁を越えた情報整理と共有について考えさせられた私の思考の歴史でもあるのです。

 

水際対策の緩和が進み、コロナ前に戻るのも時間の問題とばかりに世界的に浮足立ってきた2022年末、中国もいよいよゼロコロナ政策からの転換を図り、国際的な人の移動に大きな潮流が復活しました。これに伴う感染再拡大の懸念から、一部で新たな水際対策が発表され、「相談員泣かせの日々、復活か!?」と戦々恐々としましたが、コロナ初期とは異なり、この件に関する相談件数はさほどなく、あったとしても相談者様は一様に落ち着いた印象です。